ただの日記、猫を捨てた犯人
みなさん、こんにちは。
今日は子供のころ飼ってた猫の話をしたい。
不快な話なので、苦手な人は閲覧注意。
小学生の頃、チラという名前のチンチラ猫を飼ってた。
子猫の時に、父が連れてきた。
玄関で首輪に繋がれてることが多くて、時々、父に蹴飛ばされてた。
当然、父に懐くわけなく。
たまに繋がれてない時(反撃できる時)、父に爪を立てた。
そうすると激怒した父が猫を追いかけて2階まで行く。
ずっと怒鳴り声と、家具が蹴倒される大きな音と、猫の絶叫が聞こえてた。
私はひたすら心の中で「チラ逃げて!」と願ってた。
今思えば、よく首輪で繋がれてたから、普通の猫より動作が鈍かったんだと思う。
父の手の届かない高い場所まで逃げられなかった。
尻尾を掴まれて、ひどく蹴飛ばされてた。
とても長い時間に感じられた。
2年くらい経って、突然チラがいなくなった。
懸命に、子供の足で行ける範囲を探したけど、見つからなかった。
いつも父に蹴飛ばされてるから、嫌になって逃げたんだと思った。
それから何十年か経って、父も心筋梗塞で死んだ後。
母が私だけに言った。
「チラはね、お父さんが捨てたのよ。車で山に連れて行ったの」
耳を疑った。
「なんで?どうして止めなかったの?」と母に聞いた。
「チラはね、お父さんの父親からもらってきた猫だったのよ」
「お父さんは両親が離婚してて、父親と良い関係じゃなかったでしょ、だからチラが懐かなくて気に入らなかったの」
だとしても。
「飼ってくれる人を探すとか、できたんじゃないの?」
と言うと、母は私を責めはじめた。
「お父さんには逆えば殴られるんだから、どうしようもないって、わかるでしょう!?」
「あなた達を育てるために、お母さんは本当に大変な思いをしたのよ!」
思考も感情も凍った。
母は黙った私を見て、満足そうな顔で続けた。
「お母さんを責めないでちょうだい、ずっと誰にも言えなくて苦しかったのよぉ」
「置き去りにした時、チラが座り込んで、じっとこっちを見てた目が忘れられないわ、きっと寒くてすぐ死んじゃったのよ」
・・・今までチラにまつわる事柄は忘れていた。
あんなふわふわして、小さくて、柔らかかった命を、1度も守ってあげられなかった。
かわいそうで、今日はじめて泣いた。
両親が許せない。
父が死んだ時、私は泣かなかった。
母が死んでも、きっと泣かない。
昨日まで「両親にも事情があって、大変な思いをしながら自分を育ててくれたんだから、感謝しなきゃいけない」と思ってた。
でも私は両親がチラにしたことを許さないって決めた。
今日も、良い1日を。