ただの日記、猫を捨てた犯人

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Photo by Hunt Han on Unsplash

 

みなさん、こんにちは。

今日は子供のころ飼ってた猫の話をしたい。

不快な話なので、苦手な人は閲覧注意。

 

小学生の頃、チラという名前のチンチラ猫を飼ってた。

子猫の時に、父が連れてきた。

 

玄関で首輪に繋がれてることが多くて、時々、父に蹴飛ばされてた。

当然、父に懐くわけなく。

たまに繋がれてない時(反撃できる時)、父に爪を立てた。

そうすると激怒した父が猫を追いかけて2階まで行く。

ずっと怒鳴り声と、家具が蹴倒される大きな音と、猫の絶叫が聞こえてた。

私はひたすら心の中で「チラ逃げて!」と願ってた。


今思えば、よく首輪で繋がれてたから、普通の猫より動作が鈍かったんだと思う。

父の手の届かない高い場所まで逃げられなかった。

尻尾を掴まれて、ひどく蹴飛ばされてた。

とても長い時間に感じられた。


2年くらい経って、突然チラがいなくなった。

懸命に、子供の足で行ける範囲を探したけど、見つからなかった。

いつも父に蹴飛ばされてるから、嫌になって逃げたんだと思った。


それから何十年か経って、父も心筋梗塞で死んだ後。

母が私だけに言った。

「チラはね、お父さんが捨てたのよ。車で山に連れて行ったの」

 

耳を疑った。

「なんで?どうして止めなかったの?」と母に聞いた。

 

「チラはね、お父さんの父親からもらってきた猫だったのよ」

「お父さんは両親が離婚してて、父親と良い関係じゃなかったでしょ、だからチラが懐かなくて気に入らなかったの」

 

だとしても。

「飼ってくれる人を探すとか、できたんじゃないの?」

と言うと、母は私を責めはじめた。

「お父さんには逆えば殴られるんだから、どうしようもないって、わかるでしょう!?」

「あなた達を育てるために、お母さんは本当に大変な思いをしたのよ!」

 

思考も感情も凍った。

母は黙った私を見て、満足そうな顔で続けた。

「お母さんを責めないでちょうだい、ずっと誰にも言えなくて苦しかったのよぉ」

「置き去りにした時、チラが座り込んで、じっとこっちを見てた目が忘れられないわ、きっと寒くてすぐ死んじゃったのよ」

 


・・・今までチラにまつわる事柄は忘れていた。

あんなふわふわして、小さくて、柔らかかった命を、1度も守ってあげられなかった。

かわいそうで、今日はじめて泣いた。

 

両親が許せない。

父が死んだ時、私は泣かなかった。

母が死んでも、きっと泣かない。

 

昨日まで「両親にも事情があって、大変な思いをしながら自分を育ててくれたんだから、感謝しなきゃいけない」と思ってた。

でも私は両親がチラにしたことを許さないって決めた。

 

今日も、良い1日を。